梅雨を薬膳で考えると…

料理

梅雨とは

梅雨とは、春から夏になる過程です(通年6月~7月頃)。
その時期前後に比べて雨が多くなり、日照時間が少なくなる季節といわれています。
梅雨の時期の自然界の特徴は「陰消陽長(いんしょうようちょう)」という言葉で表されます。

陰陽五行でみると…

中国の伝統学問、陰陽五行でみると梅雨は脾の季節です。

五行五色五気六淫五臓五腑五味五官五華七情
湿湿邪思・憂

特徴は、消化系である脾胃の働きが影響を受けやすいです。

  1. 脾胃の疲れが現れやすい。
    ↑蒸し暑い為、冷たい物、生もの、水分を多く摂取する為
  2. 脾は湿を嫌う為、働きが悪くなり、津液の代謝が低下。
    →食欲不振・胃もたれ・疲れやすい・無気力、浮腫・下痢などの症状

脾の季節とは、どんな季節なのか?


五行学説で、季節によって邪気があります。
春は風邪、夏は火邪、梅雨は湿邪、秋は燥邪、冬は寒邪です。
梅雨は、湿邪です。

湿邪の症状

  1. 梅雨の邪気は湿邪で陽気を傷つけ、気の流れを阻害します。
    →冷え・めまい・胸のつかえ・腹部脹満(ふくぶちょうまん)・食欲不振などの症状が顕著。
  2. 重濁(じゅうだく)性。身体が重たい感覚があり、排泄物や分泌物の透明度がなくなり汚れた感じになります。
    →頭重感(ずじゅうかん)、体の重い感じ、浮腫・下痢・おりもの・分泌物が出る皮膚炎・尿濁などの症状
  3. 粘滞(ねんたい)性。分泌物は濃厚で粘り気があり、症状が長引きやすくなります。
    →痰に粘り気があり、下痢・発汗・皮膚が湿潤します。筋肉・関節痛や皮膚病の慢性化・長期化などの症状
  4. 下降し、下半身に侵入します。湿は水の流れのように低いところへ向かいます。
    →湿邪の侵入により、下痢・足の浮腫み・小便不利・水虫・おりものなどの症状

オススメの食材

分類作用食材
辛温解表
(しんおんげひょう)
身体を温め発汗させ、湿を排泄させる葱・生姜・紫蘇・香菜・茗荷・みつば
祛風湿
(きょふうしつ)
身体を温め香りがある食薬により湿を乾燥させるさくらんぼ・うど‥
清熱瀉火
(せいねつしゃか)
熱を取り、湿を排泄させるセロリ・セリ・きゅうり・緑豆・豆腐・金針菜(きんしんさい)・しじみ・はまぐり・茶‥
利水滲湿
(りすいさんしつ)
利尿作用により湿の排泄を促進させるはと麦・冬瓜・金針菜・トウモロコシのひげ・あずき・黒豆・大豆・空豆・鯉・はも・しらうお・車前子(しゃぜんし)・冬瓜皮‥
補気健脾
(ほきけんぴ)
脾胃の働きを強くする米・とうもろこし・長芋・じゃが芋・南瓜・いんげん・キャベツ・豆類・大棗・干し椎茸・鶏肉・牛肉・たら・鰯・かつお・いしもち・すずき・さば‥

アドバイス

  1. 寒湿(かんしつ)なら辛温(しんおん)発散の食薬を用いて発汗させ、湿をとります。
  2. 暑湿なら寒涼性の食薬と平性・温性の食薬をバランスよくとります。
  3. しつこい甘味・味の濃い物・脂っこい物をとらないようにします。(湿が溜まりるので)
  4. 冷たい物・“なまもの”は避けます。
  5. 食べ物が傷みやすい時期なので食中毒に気を付けましょう。
寒湿:寒さと内外の湿が結びついた状態。
暑湿:暑さと内外の湿が結びついた状態。
食薬:食用と薬用の両方に使用できる食材と中薬のこと。

風通しをよくし、楽しむことを心がけ、精神的に思い悩むことを控えるのが大切です。
湿邪は脾を傷めやすいので、食養生は余分な湿がたまらないようにし、脾を養うことが大切です。

養生の仕方

梅雨は雨の日が多いですが、その半面、大地を潤します。
自然を養い生長させ変化させる季節です「天人相応(てんじんそうおう)」の考えのように、
体の中の気もしっかり養い成長させることが必要です。

天人相応(てんじんそうおう):天は宇宙。自然のこと。人間も宇宙の一部であるという中医学の考え方。自然の気候変化は人体に大きく影響する。

コメント